■乳酸菌
食品加工では、ヨーグルトや漬物、各種乳酸菌飲料などをつくるために用いられる嫌気性の菌で、乳酸をつくる働きを
もつ。乳酸は、有機酸の一種で殺菌作用をもつ。有機酸は、土壌中のミネラル分をキレート化して作物に吸収しやすい
状態にする。
ブドウ糖などの糖分を分解し乳酸をつくるが、でん粉やタンパク質を分解する力はあまりない。
<乳酸菌が増殖しやすい環境・条件>
温 度 |
15 〜 40℃ |
水 分 |
必 須 |
空気(酸素) |
嫌 い |
主な栄養源 |
糖分、アミノ酸、ビタミンなど |
分解後にできる主な成分 |
乳 酸 |
■酵母菌
食品加工では、パンやビール、ワインなどの酒づくりなどに用いられる菌である。ブドウ糖などの糖分を分解してアルコールにつくったり、タンパク質を分解してアミノ酸をつくったりする。また、タンパク質を分解するときに、サイトカイニンと呼ばれる植物ホルモン物質に似た物質をつくっているとも言われている。
<酵母菌が増殖しやすい環境・条件>
温 度 |
15 〜 40℃ |
水 分 |
多 め |
空気(酸素) |
多少どちらにも対応(通性嫌気性菌) |
主な栄養源 |
糖分、タンパク質など |
分解後にできる主な成分 |
アルコール類、アミノ酸など |
■納豆菌
菌の名称からもわかるとおり、食品加工では主に納豆製造に用いられる菌である。
バチルス菌(=枯草菌(こそうきん))の一種。
納豆にみられるネバネバの成分は、ペプチドといい、ポリグルタミン酸というアミノ酸や、フラクタンという多糖類などがつながってできた物質。
繁殖力がとても強く、高温や乾燥などの悪条件下でも胞子で生き延びることができる。
乳酸菌や酵母菌などの有用微生物とは共存でき相性も良いが、カビなどの悪玉菌などには抗菌作用をもつ。
<納豆菌が増殖しやすい環境・条件>
温 度 |
30 〜 65℃ |
水 分 |
20 〜 80% |
空気(酸素) |
大好き |
主な栄養源 |
タンパク質、セルロース、脂肪、油脂など |
分解後にできる主な成分 |
アミノ酸、酵素 |
■放線菌
放線菌は、腐葉土の下などの湿気が多く、空気の通りもよいところに多くすみついている。
キチナーゼというキチン質を分解する酵素をもっており、種類によっては抗菌物質もつくる。
カニやエビなどの甲殻類の殻はキチン質でできており、放線菌のエサとなる。
<放線菌が増殖しやすい環境・条件>
温 度 |
30 〜 65℃ |
水 分 |
20 〜 80% |
空気(酸素) |
大好き |
主な栄養源 |
キチン質のものなど(一部) |
分解後にできる主な成分 |
抗菌物質(抗生物質)など(一部) |
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